椿三十郎
Tsubaki Sanjuro

1962年 東宝 96分

監督 黒澤明
出演 三船敏郎
    仲代達也
    加山雄三
    田中邦衛

原作 山本周五郎「日日平安」より




お名前: みなーみ

「椿三十朗」
「乗った人より馬は丸顔」

コレを城代に向かって言ったのは入江たか子演じる奥方では無いだろうか
若い結婚前の城代が見合いの席に馬に乗って向かった先で出迎えた女性がこんな事を
言い放った所を想像すると、いかにも楽しい
そのほかにも「いい刀は、鞘に納まってる」とか名台詞の多い作品だ

てな訳で用心棒の続編である、この作品もカナリ好きな人が多いと思う
でも前作とは大分違う前作の用心棒では、もーー殺伐とした奴しか出てこない
だから、三十朗も浮いて無いわけだが、この作品では浮きっぱなしである
そんな感じだから、前作もそうだったが、落語ムードのより高い作品だ

嫌いじゃ無いけど用心棒の方が好きだな個人的には
追記すると似た話の岡本喜八作品「斬る」の方が好きでもある

この作品で三船演じる三十朗の困った顔は、これまた黒澤監督本人の好みの女性と
相対した時に見せていたであろう顔の様な気がするのである

黒澤監督は、作品の主人公に自分を投影する癖が本人は認めていないが確実にある人だ
この当時の黒澤監督は確実に私生活も仕事も順調だった、それゆえ主人公は人殺ししまくる
作品にも関わらず非常に、のんきな作品になっている

で関係ないけど、今回は土屋嘉男に関してちょっと

七人の侍
生きものの記録
蜘蛛巣城
隠し砦の三悪人
悪い奴ほどよく眠る
用心棒
椿三十郎
赤ひげ

以上の八本の作品に、顔を出している黒澤映画常連の俳優さんだ
この人の著書「黒澤明との素晴らしき日々 クロサワさ−ん! ’99」
は中々面白い本で、黒澤明宅で居候をして言ってみれば内弟子みたいな状況だった頃
の話がその内容の中心である

とにかく、黒澤監督の大のお気に入りの俳優さんで、この著書には残念ながら
椿三十朗の話は出て来ないが「蜘蛛巣城」のエピソードで、こんなのがある

伝令の兵士が城の門を叩くシーンが有るのだが、この作品で同氏は別に役柄があったにも関わらずそのシーンの撮影に呼ばれた、そこには散々黒澤明に罵倒され疲れ切った
同氏の知り合いの俳優がいた
「この俳優じゃ駄目だから土屋君、やってくれ」
そう言われて渋々引き受けた同氏がやると、一発OK
「誰がやっても同じだって・・・」
「いや・・・僕の負けだ」
そう言って去っていった彼は、門のセットを叩きすぎたせいで入院し
俳優業をやめて郷里に帰ったそうだ、黒澤監督の残酷さを現すエピソードである

黒澤監督のエゴにこういう目に合わされた人間は多分多数いたに違いない
つまる所、黒澤監督も人を斬りまくる「抜き身の刀」だったのだと思う

そして三十朗と同じく彼もまた、それを自覚していたのだろう・・・

困った人である(笑)

<お勧め度 5点満点中 3・5点>




お名前: ばば

土屋嘉男、今回はX星人やらないのね、残念。
なんでも山登り好きの土屋氏が撮影中に登山に行かれてはたまらん、
と黒澤監督が居候させたらしいぞ。
なんて話を昔トークショーで聞きました。
『土屋君、お堂にね、カバがいるんだよ』
黒澤の夢の話。
さて、黒澤にかわいがられていた土屋氏、唯一の例外は
『イノさん(本多猪四郎)の映画になら、いいよ』
で、宇宙人やらガス人間やら・・・・・・。



お名前: みなーみ

いやはや、そんな話もあるのか(笑

夢の話は黒澤家では、毎日のように話されてたらしいね、これは土屋さんの本でも
娘の和子さんの本でも書かれてるので、本当にそうなんだろう

山登りもそうだが、この人本当に訳の解らん人で、
乗馬が得意でフラメンコギターが得意、狩猟が趣味の時期もあって村に下りてきた
熊を撃って倒したりとスゴイと言うか何と言うか不思議な人だ
フラメンコギターに関しては、三味線好きの勝新と祇園でフラメンコギター対三味線で
演奏合戦(うーん気の効いた言葉が思いつかん・・)していたそうな

黒澤明が「おもろい!」と思うのも不思議じゃ無い人なんだよね



お名前: ばば

勝新との三味線対ギターのバトル、見たかったなあ。
関係ない話ですが黒澤監督のことを職場の若い子に説明するのに
『ソフィアの松岡君の義理のおじいさん』
片や三船を
『THE虎舞竜のボーカルの義理の父』
と言ったけど
『そんなに難しく言わなくていいです』と言われた。
何でえ、知ってやがったのか。



お名前: みなーみ

僕は知らなんだ(汗

芸能界には、疎いもんで
そーなのか虎舞竜とツナガッテルてのはちょっと痛いな三船(笑

で関係無い話続きで、この映画の雰囲気、ペースを一人で作り出している
入江たか子さん、に関してだが、この映画に出るまで、職を転々とされており
直前まで、バーのママかなんか、やっておったそうな、それを是非にと御大が
頭下げて引っ張って来たらしい「一番美しく」から実は黒澤監督とは縁があるわけだが・・・
コイツはネットで拾った話、有名なんだろうね

しかし、お歯黒の貴婦人ってのを今見ても嫌味なく出来るってのはスゴイよなぁ
カラーだとそうも行かないってのもあるだろうが
こう言う演出ってのは実は一番、気を使う部分なような気がする



お名前: サンドラ・ジュリアン   

その昔テレビで、黒澤映画のメイキング番組内で本多猪四郎監督を見かけました
(と、いうか本多監督見たさにメイキングを見ているのですが)。
演出補助として黒澤をサポートしている姿を見ますと
温厚な本多さんだから黒澤天皇の傍に付いていれたんでしょうか。

で、私の好きな黒澤の談話
「(本多監督の怪獣映画を見たかと土屋嘉男に聞かれて)
 観たよ、おかしいね。怪獣がそこまで来ているのに警官が交通整理してるんだからね。
 ・・・だけど、あれが猪さんの良心なんだよ。」



お名前: ばば

>サンドラ様
 私もそのエピソードどこかで読んだことあります。
『夢』の赤富士のエピソードはどう見たって本多演出バリバリのようですが、
裏づけがないので、なんとも・・・・・・。
『夢』といえば、ゴッホ役で出演したマーチン・タクシードライバー・スコセッシが
現場につくなり『『ゴジラ』の本多監督に会いに来ました』
とかいってたのをメイキング番組で見ました。






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