お名前: みなーみ


「天国と地獄」

「椿三十郎」の後、1963年の作品です、その次の年に東京オリンピックが開催。
お父さんたちが必死に頑張ってた時代ですな。

でそんな時代に、この作品、黒澤監督自身は

「頻発する卑劣な営利誘拐に対する抗議」

としてこの作品を作ったなんて言ってますが抗議ではなく講義になっちゃたようで
この後この作品をヒントに営利誘拐が起こっちゃったってのが有名です
その中でもハッキリこの作品を真似たとされている事件がこれ

[ 新潟デザイナー誘拐殺人事件 ] 
1965年(昭和40年)1月13日、新潟市で、警察を装った人物からの電話で呼び出されたデザイナーの折戸紀代子(24歳)が誘拐され、700万円の身代金を要求された。
犯人は映画『天国と地獄』をまねて金を取ろうとするが失敗。その4時間後に紀代子の遺体が発見された。
犯人の山川真也(当時23歳)は、1971年(昭和46年)5月に死刑が確定したが、
1977年(昭和52年)5月、東京拘置所でガラス片を首に突き刺し自殺した。


ついでに言うと黒澤監督自身も恐喝されてます、こちらは単に愉快犯だったようですが
色々世間を騒がせた作品でした。

この作品はもうタイトルからして黒澤監督のポジティブな面とネガティブな部分の相克を
現してる作品ですが監督の自覚としてどうだったかは別にして、とても抗議とは言えない内容。
当時、貧富の差が激しくなっていた日本の社会を描いた作品と言ったほうが
どう考えても正しいと思う。

抗議と言うにしては、犯人の背景を丹念に描いており単純に悪としては描いてはいない
ハッキリいってしまえば僕らの隣にいる人物として描かれてる。

黒澤作品の完璧さと同時に嫌われる一面も同様に多量に含んでいる作品とも言えると思う。

要は説教くさい、これは僕なんかにとってはいい所なわけだが仲代達也演じる警部が犯人を追う
際言う台詞には迷いが無い無さ過ぎる、なぜかこの迷いの無さが僕には鼻につく
この作品で描かれる警察は、どこか記号的で当たり前の事しか言ってくれない、
そんな警察の姿がどこか"弱いものいじめ"のようにも見えてしまうのだ

その点「野良犬」の主人公は終始悩んでいたわけで・・・同じ種類の説教臭さなら僕は圧倒的に、この作品が好きだ

この作品実際そのクオリティは最高、もちろん観る価値はある。
麻薬中毒者のタムロする一角の造型とか黒澤的な表現も多数あるし・・・
でも何故か余り好きになれない変な作品である

この作品を観ると何故か角川の「人間の証明」の方が面白いって思う僕は変だろうか????

<お勧め度 5点満点中 1・5点>






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