お名前: みなーみ


「蜘蛛巣城」

とある、深夜・・・・東宝撮影所のどっか

黒澤「マクベス・マクベス・まくべす・まくべすまくべすくものすくものす・・・
    はっこれだ!蜘蛛巣城
菊島「うまい!15点!」

この時、合いの手で言った点数が中途半端な点数で高いか低いかよく解らんかったことが
菊島隆三氏と黒澤監督のその後の不仲に至る最初の亀裂となる。もちろん嘘です。


「生き物の記録」と「どん底」の間の作品、監督絶好調の時期ですね。

なんちゅうか、完成度は高い、スンゴイです
山田五十鈴の作りこまれた顔が、トラウマになりそうなくらい嫌な感じ。
特に気が狂って幻の血を手から洗い流すシーンの横顔は、この世の者とは思えん!

僕は「乱」が三番目くらいに好きですが・・・

その兄弟みたいな「蜘蛛巣城」は何でかマイ黒澤リストの中では低い方にランキングされてます。
しかし今回、観直してみて思ったのは

「乱」は、この作品でやっていた事の焼き直しなんじゃねーの?そんな事。

白黒画像のおかげで薄められてますが主人公のテンパッタ表情のメイクは明らかに過剰だし
山田五十鈴の演じる浅茅は、かなり原田美枝子の演技に移植されてる。

批判もされる反面「乱」は黒澤監督の集大成とも言われます。
でもやってる事で決定的に新しい手法、表現は実は無い・・・そこが問題だと思う。
僕は晩年の作品の色彩の異常な感じも嫌いじゃ無いのは以前、言いましたが既に使ったイメージの繰り返しな所が「黒澤老いたり」と世間に思わせた、本当の理由だったんでは無いでしょうか?
でも僕にとって面白いのは乱なわけですが・・・・

「カラーになると、黒澤作品は『ドイツ表現主義』になった」

なんて事を言う人もいますが、僕はそんな事は無いと思う。
昔からそういう部分はこの人にはあったわけで・・・
案外、黒澤監督は、この作品もカラーの技術が満足行くものならカラーで撮りたかったのではないだろうか。
ソウ思うと「乱」はこの作品の完成形とも言えるかもしれない、集大成というよりは、過去の黒澤明へのマトメもしくは決別・・・それが妥当だと思う、だから「枯れた味」としてはこの作品以降の方が良いと僕は思う。

うおっ傑作なのに、今回はすっかり「乱」の話になってしまった、なんでだろ??

<お勧め度 5点満点中 1・5点>



お名前: ooshima


どちらも「女に翻弄されて自滅する駄目野郎」の話だけどさ、
自滅する男の描写にかなり開きがあると思う。
「蜘蛛」の三船は、粗野だが芯が通っていて主人に忠実な部下に見えるが、
「乱」の兄弟は初めっから貧弱な感じ。
斜面を転がる石に例えると、
「蜘蛛」の三船は急斜面をデッカイ石が猛烈な速度で転がって来るが、
「乱」はユルイ斜面を小石がカラカラと人目に触れずに落ち、気が付いたら山の麓にあった、
て感じ。 どっちが面白い? と聞かれりゃ断然「蜘蛛巣城」だな(笑)

>「カラーになると、黒澤作品は『ドイツ表現主義』になった」
 
そうか! 晩年の黒澤は「ガリガリ博士」なのか!(笑)



お名前: みなーみ


>「蜘蛛」の三船は急斜面をデッカイ石が猛烈な速度で転がって来るが、
>「乱」はユルイ斜面を小石がカラカラと人目に触れずに落ち、気が付いたら山の麓にあった、
て感じ。

うまいなぁこの二つの作品の決定的な違いを、実に簡潔に表現してると思います
その坂の角度の違いが「黒澤老いたり」の部分なんでしょう
それともテンカンを抑える治療の成果かな???
いかんいかんしゃれにならん


>そうか! 晩年の黒澤は「ガリガリ博士」なのか!(笑)

いやいや、そういう意味では無く
ってまぁそういう意味ですけど(笑)

「どん底」のナメクジ長屋にしたってそういう傾向はあるので
カラーになって改めて黒澤監督のぶっとんだ画面作りが目立つようになったってことでしか無いと思うんです。
ちなみにこれを言った人は「どですかでん」を観た時そう思ったらしいので、まぁ解るかなぁとも思います

「蜘蛛巣城」は僕はカラーだったら多分もっと強烈だったと思うんです。
なんというか、この作品のみ初期の作品の中では白黒では足りないような気がするんですよね、
「ゴッホ大好き、黒澤明」を認めちゃう僕としては。

案外ooshimaさんの「乱」評も逆に後者も白黒作品だったら
もう少し上がっているのかもしれませんね(笑)






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