一番美しく
Most Beautifully

1944年 東宝 85分

監督 黒澤明
出演 矢口陽子
    入江たか子
    志村喬


お名前: みなーみ

「一番美しく」

さあ、困った、なんと言っていいやら・・・戦時中に作られたイワユル戦意高揚映画

主人公の女の子がベッキーにちょっと似てます

内容は戦時中どこかの軍事工場(光学照準器?)に動員された女学生達の話
バックに軍部がついて予算的に多少楽になったのか
デビュー作の「姿三四郎」より明らかにフィルムの出来が良い

逆に言えば、自由な内容の「姿〜」の様な映画を当時、撮影するのは非常に苦労が多かった
に違いないとも想像出来る

内容は、北朝鮮の戦意高揚映画と変わらないとは意地でも言いたくない所だけれど
クールな人に言わせればあっさりそうかも知れない
黒澤監督は多分北朝鮮の美女軍団なんてのを見るとカナリつらい気持ちになったかもしれない
オソラクかなり改ざんされたろうが脚本も黒澤監督自身がやっている、毒を食らわば皿までと言う奴か・・・

とりあえず黒澤監督は女の子達を魅力的に撮るべくがんばっている

エピローグ主人公の青年隊長、渡辺鶴の母親が故郷で死ぬ、でも彼女は工場に進んで残る
彼女が涙を抑えつつ作業するカットでこの映画は終わる(一応強制ではない)

「国家も常識も関係ない、言はなきゃならん事は言う!やりたい事はやる!」

それがサムライだと言ってきたけど、これを人間と置き換えたら・・・・
全体主義で個の大切な何かを潰されると言うのは紛れも無く不幸だ

別にしょうもない個人主義万歳では無い
集団の目的の為にみんなが努力するのは、いいことだとは思う

ただ親の死に目に会うとか、好物の食い物を食ってうまいとか、なんと言うかそんな事が
人の人生で案外一番大切なことで、それを我慢することが美しい正しいとされる集団なんてのは
ろくなもんじゃあ無い、ましてや、それを強制していたとしたらそんな集団に未来は、無い

おかしな例えかもしれないけれど「光る雨」なんか見るとその極端な例が見れるこの映画の話
は、まあ別として・・・

黒澤監督がそう言ったササイな幸福をどれだけ大事に考えていたかは、用心棒のほんのちょっと
した画面からも解る、借金のかたにされた母親と息子が居酒屋の格子越しに対面するあのシーン

コッソリ見るだけのつもりが思わず叫んでしまう子供、声を聞きつけ駆け寄る母親
不機嫌だった三十朗が何も言わずに雨戸を素早くあけてやる
このときの三船の動きの迷いの無い素早さに、僕は黒澤監督の好きなサムライの人間性を見る。

「僕はまあ思想なんて物は、どんなものにせよロクナもんじゃ無いと考えてますから・・・」

司馬遼太郎がナンカでそのような事言ってた・・・自分も同感である

散々なぜ黒澤監督が二次大戦を舞台にした作品をやらなかったのか屁理屈をたれて来たけれど
原因は常に単純だ

この映画を黒澤監督が作ってしまったからである

<お勧め度 5点満点中 3点>



お名前: ooshima

みなーみサン凄いネ、「一番美しく」観たんですか、俺は頼まれても鑑賞したくないけどな。
戦時中はアカの人、戦後の東宝争議で退社した山本薩夫や今井正も戦意高揚映画撮らされた位だし、
ディズニーだって「東京を爆撃機で空襲しよう!!」て(内容の)映画「勝手に」撮っていたし、
「時代が…」なんて文句たれて筆折った監督よりは遥かに健全だと思いますが。
でも、やっぱ、ディズニーは許せん(笑)





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