お名前: みなーみ

番外
「お嫁においで」

久し振りに、面白い映画を観た

そんな感じだ、オークションで結構思い切った値段で買ったこの
ビデオ、今日届いてすぐに観た、ゆっくり考えて明日書きゃいいんだろうけど
本当に、キラリと光る一本だったのである

悲しいかな、レンタル落ちの作品にも関わらず映像は非常に良好な状態だった
本多監督と言えば怪獣映画、だからどう考えてもこの辺の作品はみんなノーマーク
なのは間違いない、でも機会があれば是非見ていただきたい

この作品は、とにかくとてもいい、傑作だ、通常の若大将シリーズとは
違う、加山雄三は金持ちのボンボンで最後にヒロインにふられてしまう
なんのこたぁ無い『カッコイイ青大将』ってわけである、特にこれと言って山場なんて無い
金持ちのインテリナイスガイが、ブルーカラーの単純野郎に三角関係で理不尽に負ける、
ただ、それだけのストーリー

時々実は悩む事がある

「黒澤作品って本当に僕にとって面白いんだろうか??」

まったくもってこんなスレッドの主が言ってはイケナイ言葉だけれど、正直これだけアホみたいに
黒澤作品を繰り返し観てるとふっとそんな事を思う時があるのだ

作品って奴には必ずその作家の人間性が出てくる、この作品には黒澤明監督が愛してやまなかった
本多猪四郎という人の穏やかだけど芯のとうった強さが見える

ヒロインが、加山雄三をふる、クライマックス、ホテルの高級レストランで
沢井桂子が言う

沢井「あなたのお陰で、こんな幸せがあるって事を知った、でもこれだけが幸せだとしたら
お金持ちだけが幸せって事になる・・・私はそうじゃ無いと思うんです・・・幸せってお金の無い人にも
健康でない人にもそれぞれが掴みとれる幸せってものがあるって」

加山「それは、そうでしょう」

うろ覚えで正確に台詞を再現出来ないってのもあるけれど、あんまり言うのはよそう
出来れば観ていただきたいからだ、よく観たシーンのような気がするけれど本多監督の考えがよく出ている
とてもいいシーンだと思う

僕も貧乏だけど自営業の商売人だ、商売人って奴は金に執着しなきゃいけない
でも金が無けりゃ不幸なんてのは、少なく見積もっても半分くらいは嘘だと思う
『無欲の幸せ』って確実にある、そういう事をシミジミ再確認出来る映画だ、とにかく僕は好きだ
小津安二郎の作品と比べたって遜色が無いちょっと頭に血が上ってるせいかも知れないけれどそう思う

黒澤作品の登場人物達が上昇志向のガツガツした奴ばっかり出てくるかと言えばそんな事は無い
だから反対の作品とか単純に言えない、形が違うそういう事なんだと思う
黒澤作品ではないけれど「雨あがる」なんか観てると最後に目指してた物は同じだったんじゃ無いだろうか

おしい、どういう状況なら、本多監督が黒澤監督のような立場になれたのか想像出来ないけれど
言いたいのは、もっともっと通常の本編を撮っても良かった人だと思う
案外、黒澤監督のようにエゴをもっと前面に出せる人なら簡単な事だったのかも知れない
だけど、本多監督は抜き身の刀には、ならなかった、どういう人だったんだこの人??トニカク稀有な人だよ
自己主張って部分では全く黒澤監督とは正反対の人だ、でもこの作品は確かに面白い

多分根っこでこの二人はつながってる、文章を書いてて、今気づいた(笑
だから二人は最後まで友情でつながっていられたんだろう

怪獣映画で大きな足跡を残した人物なわけで、映画人としてケシテ不幸だったとは思わないけれど
とにかく、この人のドラマがもっと観たかった、本当にそう思う

>ooshimaさん

例の妄想ですが、いいセンついてるかも知れません、U造演じる主人公「保」の”デコ助”って口癖は
黒澤監督の口癖としても有名ですから(笑

<お勧め度 5点満点中 4点>



お名前: ooshima   

劇中にある、ふと見せる突き放したような演出に目が止まりますね、
例えばU三とヒロインが楽しげにヨットでデートするけど、
そのシークエンスの終わりに酔って気持ち悪くなったヒロインの背中をU三がさするシーンが出てくる。
「人生楽しいことばかりじゃないンだよ」と本多監督言っているみたいだね。



お名前: みなーみ   

ああいうシーンで、あそこでカットを入れるってのは、作家性感じますね僕も
全く無くてもいいけど、そういうのの積み重ねが映画の空気を作っていく

ラストシーンは加山U三の歌で終わりますが
僕の感じでは、あのシーンは要らなかった野呂が吹っ切れてお客とドライブに行くシーンで
終わってればもっとポイントは高かったんですが
そこはアイドル映画、ポイントをおさえない訳には行かないですからしょうがないですけど

この人の作品観てて思ったのは、作家ってのはヤッパリ破綻した部分が無いと
中々表には出られないのかなぁと言う事です、それを言うと小津なんかどうなる??
という感じがしますが、黒澤作品なんか、こういう幸せの重要さを説きながら
製作現場で、本人は作品の為に人を斬りまくってる
宮崎駿やら、押井守なんかも結構、全体観ると破綻した事言ってますからね

関係ありませんが、山田洋二監督の語った黒澤監督のエピソードで
同監督の晩年、黒澤邸を訪れたら黒澤監督が小津の「東京物語」を一人でじっと観てたって話がありました。
まぁ面白い作品ですから、黒澤監督がみてたって別に不思議でも何でも無いんですが
「雨あがる」の脚本なんかは「黒澤版東京物語」と言ってもいい様な気がしますので
黒澤監督がそういう穏やかな物を愛していたと言うのは明白だったと思います

人間としての幸福と言う意味では、本多監督は黒澤監督より大きい物を得ていたのでは無いでしょうか?

東宝の大黒柱としては、黒澤監督より重要な人物だったし、天皇と呼ばれて嫌われる事も無い

黒澤監督はある意味、羨望の眼差しで本多監督を観ていたのかもしれませんね



お名前: MA・T   

興味深く読ませて頂きました。私もまだまだ本多監督作品を見なきゃいけませんね。
本多作品って、ストーリーや映像表現でなく、映画の中にある(本筋と関係無い)、
チョコっとした表現に作家製が現れてくるんでしょうね。多くの関係者が語っている、
『怪獣がそこまで来てるのに、交通整理してるお巡りさん』とか(笑)・・・。

ところでこう書いて気付いたんですが、黒澤明が多数の脚本・原案を書き、他の監督
に・・・それこそ最近まで・・・映像化されていますが、本多猪四郎は初期作品こそ
自身の脚本を監督してますが、その後は他人の脚本を演出する事が殆ど。監督した特
撮映画で脚本に参加しているのは『ゴジラ』、『サンダ対ガイラ』、『怪獣総進撃』
のみですね。この3作品と他の特撮映画の違いって、何でしょうか?自分で気になり
ながら、答えの出せないでいる私・・・。



お名前: みなーみ   

いやはや、まぁ妄想なわけですが(笑

実はゴジラ以外の二本は未見ですが、ooshimaさんの言う本多監督のどす黒さってのが
ポイントになるのかも知れません、それはもう単純に戦争の影でしょう
コイツは脚本に関係してない作品でも出てきます
「フランケンシュタイン対地底怪獣」もそうです、もうちょっと観ないと所詮、妄想ですが

戦後の日本でこれが、あらゆる映像作品に出てくるのは当たり前です
働く世代の、みんなが経験してるわけですから、しかし本多監督の場合その関わり方は
夢でしょっちゅう、うなされる程ですからね、他人がサラリと書いた部分が彼の演出
でアンダーラインを引かれた物になる

この辺は穏やかなる本多監督の見えない破綻部分と言えるかも知れません
以前、黒澤監督の「夢」で戦争の亡霊に回れ右をさせるエピソードは本多監督の
観た夢かもしれないと書きましたが、実はかなり確信持ってます

ああいう暗いトンネルが本多監督の心のどこかにポッカリとあった
そういう、まるで違う暗黒面と健康的で穏やかな物を愛する心が共生するっていうのは
これまた黒澤監督の作家性と共通する部分です

いや書けば書くほどそう思うけど、この二人って似てる部分も多いなぁ



お名前: ばば

>『ゴジラ』、『サンダ対ガイラ』、『怪獣総進撃』
この三作品の共通項・・・・・・。
『怪獣が出ている』ぐらいかな。
作家性うんぬんよりも当時の大量生産体制の映画界のこと
『ヤベ、今回は時間ないし、俺も書くわ!』
みたいなところじゃないかな? 後の二本は。
脚本家と監督、とか言うと関沢新一、馬淵薫にもふれにゃいかんし。
大変だー。で、ちょっと資料をば。
あ、二本とも馬淵薫だ。
でも『総進撃』と『サンガイ』じゃあ怪獣映画の明と暗ですよ。
ここはやはり
『ヤベ、今回は・・・・・・』



お名前: みなーみ   

やべっ俺カッコつけてたスマン、
大量生産、行っとけ行っとけGOGOってのはあるだろうからなぁ、知らん事は語る物では無い
『サンダ対ガイラ』、『怪獣総進撃』観とくわ

まぁ俺がその辺書くより「怪獣博士(公認)」の、ちみに一つ
この辺りの怪獣映画の歴史を一発書いていただけると嬉しい、予備知識は
頑張って追いつくようにするよ

まぁここは一つ・・・商売抜きと言う事でお礼はいずれ精神的に(笑



お名前: ooshima   

何かで読んだンですが、本多監督は脚本にクレジットされてない映画でも必ず筆を通していたそうです。
奥様(東宝で同僚だったそうです)もよく目を通して意見したそうですよ、まるで市川昆夫妻ですね。



お名前: みなーみ   

多分、山本嘉次郎門下で黒澤同様シナリオをカナリ重要視してたでしょうからねぇ
ここは一つ、本多監督をもうちょっとやってみますか
しっかし人気のある人だよなぁ・・・

あっそれより何より夫婦でって所がいいなぁ

蛇足ですが
ここ10年で最高の駄作と呼ばれている実写版「デビルマソ」の監督、脚本も夫婦ですね







お名前: ooshima   

突然ですが、以前書いた「お嫁においで」の妄想の件で、

つい2週間前に、東宝娯楽映画に詳しい評論家の佐藤利明氏とお話する機会があったので、
「これ幸いと」例の妄想を話してみた所、「それはないね」と即座に断言された(笑)
本多監督と黒澤監督の友情にはこれっぽっちの影も無いのだそうです。
何でも、出版が無期延期になってる「無冠の帝王・本多猪四郎(仮題)」の取材の為、
かなりの人に取材をしての結論だそうです。



お名前: みなーみ   

お久し振りですって、えぇ?
なんでそんなチャンスあったんすか?
もしかしてまた職場が変ったとかそういう事でしょうか?いい感じいい感じ!
詳しいお話お聞かせ下さい!!

しかし、そうなると。途端に本多作品の感想がこっぱずかしいもんになってきますな・・・(汗

まぁいいか妄想と暴走だけで成り立つスレだし(笑



お名前: MA・T   

>ooshima様

いやはや、面白い情報を有難うございます!

しかし映画って純粋に作品でも楽しめますが、多少なりとも興味をもった作品は、
その作品の背後の人々のエピソードを知ると、さらに興味深くなるものですね。
今後ともそのような情報がありましたら、ぜひ教えて下さいね。


>みーなみ様

妄想と暴走?ご謙遜を(笑)。映画の見方の一つに、『誤読』って奴も大切だと
思いますよ。観る方が製作者の意図と別の意味に受け取り、別の意味を発見する
のも大いにアリ、じゃないでしょか。『最低映画』などは、このパターンでカル
トな人気が出たりしますよね。外国映画の我等の解釈なんぞ怪しいモノ・・・。

黒澤映画と言えば、『生きる』をローマ字標記と音で誤解したのか、タイトルを
『I KILL』(英語としてもオカシイぞ!)と勘違いし、「主人公がいろん
な意味で自分を殺し、何かを成し遂げる、日本的な物語」と評した外国人評論家
がいた、な〜んて笑い話を昔聞いたことがあります(笑)。



お名前: みなーみ   

いやぁフォローありがとうございます

開き直って確認しとこう!

このスレ面白ければ妄想OKにつき資料的価値無し注意!



時間作って、もっと勉強もしようと思います、まぁ素人である以上おっつく事は無いですが(笑







広告 [PR] 英会話  ドラマ 映画 激安 無料レンタルサーバー ブログ blog